イラスト

海外の大型ロックフェスから依頼があった話

今から遡ること7年前、目を疑うようなメールが海外から送られてきました。

それは「ロラパルーザのポスターのアートワークを描かないか」というものでした。

ロラパルーザというのは知る人ぞ知る、海外の有名な大型ロックフェスだったのです。

ロラパルーザって?

ちょっと長めですが以下ウィキペディアからの引用です。

ロラパルーザ(Lollapalooza)はアメリカ合衆国イリノイ州シカゴで毎年開催されるロック・フェスティバル、及び同名を冠した世界各地で開催されているフェスティバル・ブランド。(中略)1991年にジェーンズ・アディクションのボーカル、ペリー・ファレルが組織したロラパルーザは北米各地をツアーする形態をとったロックフェスティバルで、オルタナティブ・ミュージックの隆盛に伴い1990年代のアメリカの若者文化の重要な一部を担う存在となった。出典:ウィキペディア

ざっくりいうと90年代アメリカでとても盛り上がっていたロックフェスです。(超ざっくり)

もちろん自分は実際にこのフェスに行った経験はないのですが、高校生の頃よく通っていたロック系の古着屋さんでこのロラパルーザのTシャツを発見したのが馴れ初めです。

当時は90年代後半で、ロックではグランジやヘビーロックのようなジャンルが流行ってて、自分ももれなくニルヴァーナをはじめとするグランジロックにどっぷりハマってました。

このロラパルーザはそんな新しいロックの先駆けのような存在(だったように認識していました。)でした。

実際、ニルヴァーナ自体は不参加(1994年のヘッドライナーを辞退)だったものの、パールジャム、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、レッチリ、ナイン・インチ・ネイルズなどなど錚々たるメンツがこのフェスを彩っており、Tシャツのラインナップを眺めては遠いアメリカの地に想いを馳せていました。

当時もライブハウスにはよく行っていたものの『ロックフェス』なるものを未経験だった高校生にとって、このロラパルーザというものは非常に興味深い存在だったのです。

いきなりの依頼

そして時は流れて2015年の夏、一通のDMがインスタのアカウントに届きます。

「私はクリエイティブスタジオ○○の〇〇だけど、今秋開催のロラパルーザのポスターのアートワークをお願いできませんか?」

確かこんな文面だったと思います。英語とスペイン語?まじりでした。

SNSをやっていると(そしてちょっとフォロワーが多いと)わかると思いますが、いろんなDMが送られてきますが9割はスパムです。

今回のメールも、英語とスペイン語まじりなところが引っかかって、どうにも怪しいので放置していました。

ただ、無視しても何回もDMが来る。。何かものを売りつけようとしているような怪しいURLもない。。

そんな時、『ロラパルーザ』の文字に目が留まります。

「ロラパルーザって高校生の時に古着屋で見つけたバンドTの、あのロラパルーザ?」

どうにも気になって、5回目ぐらいに送られてきたDMに返信していました。

ロラパルーザのポスターを描くことに

DMに返信すると先方からの返信もすぐ来ました。

どうやら話は本当で、ロラパルーザのポスターを描くイラストレーターを探していたとのこと。(アートワークを担当するイラストレーターを毎年変えているそう)

そしてこのロラパルーザは、アメリカの本家ロラパルーザではなく、南米のチリで開催されるロラパルーザ・チリということでした。

(ロラパルーザはブランドになっていて、他にもブラジルやアルゼンチン、ベルリン、パリなどの都市でも開催されています。)

もちろん仕事としての依頼でギャランティーも支払われるとのことでしたので、二つ返事で引き受けることになりました。

依頼内容としては「自身のオリジナルの作品であること」以外は何を描いても自由でした。(とはいえ、バンド名のラインナップもフォントではなく手書きにしてほしいなど、かなりのクオリティは要求されました)

ここまできて燃えないイラストレーターはいないでしょう。納期は約1ヶ月程度でしたが、この案件につきっきりで仕上げたのを覚えています。

チリは日本と時差がほぼ逆転しているので、夜に送って翌日の昼に戻しが来る、というようなやりとりで進めました。

完成!と教訓

ロラパルーザ2015ポスター制作したロラパルーザ2105のポスター

そしてようやく完成したポスターイラストがこちらです。

今とはちょっとタッチも違いますが、とにかく迫力は伝わるのではないでしょうか?

日本っぽいモチーフで南米っぽい色使いで描いてみたんですが、チリのクリエイティブスタジオの担当者にはめちゃくちゃ受けました。

「あなたに頼んで良かった」とメッセージをくれたときは、連日の疲れも相まって涙がほろりときました。

日本でこそ知名度があまりないロラパルーザですが、インスタにアップしたら海外からの反応は凄まじく、フォロワーが一気に200人ぐらい増えてびっくりしました。

何より高校生の頃恋焦がれた遠いアメリカのロックフェスに、時間を経てこうしてイラストで関わることができたのが感慨深かったです。

今回の案件で得た教訓はこの2点です。

  1. 長く続けているとチャンスは巡ってくる
  2. 新しいことには積極的にチャレンジする

①はイラストを描き続けていたからこんな話が急に来ても対応ができたのだと思います。継続は力なりなんて言いますけど、やっぱり続けていることは大きな力になります。

②ですが、2015年当時インスタはまだ目新しいSNSで今よりももっと最先端なイメージがありました。自分の更新頻度も今の3倍ぐらい多くて、とにかくよくイラストを描いてはすぐアップしていたのを覚えています。

これだけ目新しいものに積極的に更新を続けていたから、今回の発注者にも見つけてもらえたんではないか、と推測しています。

実際、現在の2022年ではTikTokを頻繁に更新しだしたらご依頼が殺到した経験があります。

なので、新しいSNSやメディアには(よくわかっていなくても)積極的にチャレンジしていくと仕事につながりやすいと言えます。