おすすめの本

【おすすめの本 #7】ひきこもれ(新装版)by吉本 隆明

思想界の巨人と呼ばれる吉本 隆明さんの著書『ひきこもれ』の2020年新装版です。

吉本 隆明さんの本は興味を持ちつつもちょっと難解な気がして、過去の糸井重里さんとの対談本ぐらいしか読んだことがなかったですが、今回本屋さんでこのタイトルが目について買ってみました。

すごく読みやすくコロナ禍の今読んで欲しいという編集者の意図もよくわかる内容で、おすすめできる内容でした。

「まとまった時間」を持つことの重要さ


この新装版には冒頭に齋藤孝さんの解説から始まるんですが、この言葉が強調されています。

ひきこもることとはつまり、誰にも邪魔されないまとまった自分だけの時間を持つこと

1人で籠もって誰にも合わずに集中して何かに没頭することが価値を生み、それが仕事となり、社会との繋がりを生むというふうに、ひきこもることの大事さが書かれています。

自分にとっても「ひきこもること」は寂しくて時には情けなく感じてしまうようなネガティブな意味合いを感じていたので、このコロナ禍で1人で黙々と過ごさざる得ない状況も辛くなりがちでしたが、そんな気持ちを転換してくれる優しい言葉です。

分断されないひとまとまりの時間で、本を読んだり、映画を観たり、絵を描いたり、自由に空想したりして、どんどん自分の中に深く潜っていくことで新たな価値に繋げていけば良いと思えました。

とにかく10年コツコツやってみる


いわゆる外に向けたコミュニケーション能力よりも、自分との長い対話から生まれ出たものが、職人的な仕事の価値となる。

ゆっくりやっても急いでも、毎日10分でも机に向かって仕事に取り組めば、10年も継続できたならそれは十分仕事になり得るとも書かれています。

著者の吉本さんも40歳ぐらいまでは別の仕事を掛け持ちしながら、気の向いた時に物書きの仕事をするようなスローペースの歩みではあったようですが、継続した歩みが物書きの仕事に繋がったようです。

自分に関しても好きこそもののなんとかではないですけど、仕事は「興味がある」「好き」ということがやはり一番の要因のように思います。

私自身のイラストレーター 稼業も安定していないですが、ゆっくりコツコツ続けてきたことが仕事に繋がっている側面が大きいです。

物書きでもイラストレーターでも、プロでやられてる方って多分皆さんそんな感じではないでしょうか?そしてそれを努力とも感じていないと思います。

そんなスローペースな仕事論も読んでて楽しいです。

孤独の処方箋


ここは立ち読みしてて面白いなと感じた部分です。

元来ひきこもり症で大勢の中で進んでコミュニケーションを取りたいと思わないような人でも、不意に得も言われぬ孤独感に苛まれる時があります。

そんな時は大勢の中でもコミュニケーションをとらず単独者でいられる場所が気を紛らわせてくれるので、「銭湯」と「神社のお祭り」によく行かれていたそうです。

これ、なんかよくわかるなと、本屋で軽く肯いてしまいました笑

話したり騒いだりしなくても、大勢の中にポツンと身を置くと何故か心地よかったりします。あれこれかまわれないけど人の気配があるのが良い距離感に感じたり。

このコロナの影響でさらに人の繋がりのようなものが分断されがちに感じるので、そんな簡単に避難場所のようなものが一つあったらちょっと楽になると思います。

気分転換の意味での銭湯は最強ですね。

まとめ

学校や不登校、文学や死についてなど、ひきこもりを入り口に様々なテーマがコラムっぽく編集されているので、難しいかなと思ったのを裏腹に文体も話口調で読みやすく、2時間ほどで読めました。

これを機会に他の吉本さんの名著も挑戦してみたくもなる面白さです。

コロナ禍で社会生活に影響がない人はいないと思います。何かしら歪みのようなものができていて、半年も時間が経てば知らずにその歪みが大きくなっていてバランスを崩してしまうようなこともあるんじゃないでしょうか?

そんな孤独な時間にひきこもることは全然悪くない、とことんひきこもってみようとも思える内容ですので、ちょっと疲れてる時なんかにもおすすめです。

あと、この本を読んでいる時にたまたまネットでイラストレーターのヨシタケシンスケさんの記事を読んでいたら、この本にも同氏のイラストが使用されていてちょっと驚いたのも、せっかくなんで書いておきます。