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【書評】ネコがメディアを支配する-ネットニュースに未来はあるのか- 奥村倫弘


けっこう本は読んでるんですが、ブログに書いてアウトプットしておいた方が自分にとってもいいよな、と思い久しぶりの書評です。

今回は奥村倫弘さん著の「ネコがメディアを支配する -ネットニュースに未来はあるのか-」です。

偶然近所に見つけた小さい図書館で先日見つけて借りてきたところ、他の読みかけの本を差し置いて一気に読んでしまいました。

この著者は「ヤフー・トピックスの作り方」でお名前は記憶してたんですが、著書を読むのは初めてです。

元新聞記者で現在はニュースサイト「THE PAGE」の編集長という肩書から、読みやすく適度に含蓄のある文体でスラスラ読み進めることができました。

奥村 倫弘
1969年、大阪府生まれ。同志社大学卒。92年、読売新聞大阪本社入社。福井支局、奈良支局、大阪経済部を経て、98年にヤフー株式会社に転職。ヤフー・トピックス編集長、メディアサービスカンパニー編集本部長を経て、ウェブメディア「THE PAGE」の編集長を務めた。2019年4月から東京都市大学メディア情報学部教授。著書に『ヤフー・トピックスの作り方』(光文社新書)、『ネコがメディアを支配する ネットニュースに未来はあるのか』(中公新書ラクレ)、共著に『図説 日本のメディア [新版]―伝統メディアはネットでどう変わるか 』(NHK出版)出典:FRONTLINE PRESS

ネットニュースはPV至上主義

Yahoo!ニュースなんかに代表されるネットニュースサイトの記事は、何を世の中に伝えるべきか深掘りした記事よりも、より目を引きやすいコンテンツが乱立する、いわばPV(ページビュー、その記事の表示回数)至上主義に陥っていて、今まで新聞などの伝統的メディアが担っていたジャーナリズムの未来が危ぶまれている、というのが本を読んだ主題に感じました。
理由は以下になります。

理由①伝統メディア(新聞・雑誌など)の売上よりも新興メディア(ネット)の売上が伸びているから

この本の中ではメディアは2つに分けられています。伝統メディア(新聞・雑誌など)と新興メディア(ネット)です。
広告収益がネットなどの新興メディアが伝統メディアを抜き、ネットニュースのトピックスに新聞の記事がキュレーション(抜粋、まとめ)されるようになりました。
その結果、「ユーザーに何を見せるか」の主導権はネットに委ねられ、結果PVに重きをおく現在の流れになったという点。

理由②紙からパソコン、そしてスマホへ

新聞や雑誌のような紙媒体から、デバイスはパソコンに移行し出したのが2000年初頭、そして2015年以降スマホが情報閲覧のツールとしても定着したので、「ニュースはスマホでながら見する」というスタイルが一般的になりました。
その結果、ニュースを読むではなくニュースを見る、というような隙間時間を埋めるような形になり、深く読み解くような記事よりも、表題にあるような可愛いネコ動画の方が圧倒的にPVを稼ぐようになったという点。
また、問題は新聞社が制作した記事と、ネコの動画も同じネットニュースというカテゴリ内で一緒に並んでしまうことがよりニュースというものが分かりにくくなった、指摘されています。

メディアの役割の2分化


新しいネットメディアが確立されたことで、どんどん古いメディアの価値が損なわれていってヤバい、ということと、この流れは今後さらに加速するだろうとの予測です。自分も同感です。

新聞や雑誌も今までは自分たちのメディアでキュレーションの役割も持っていたけど(今も持っているけど)、ネットニュースのキュレーションがメインとなり、新聞や雑誌、その他のメディアは記事を生産することがメインに役割が分かれていくという感じです。

これについては本書の中でアメリカのジャーナリストのスティーブ・ワルドマンさんのコメントがより分かりやすいです。

「ニュースの鉱石を地中から掘り出す作業をしているのは今日でももっぱら新聞社だという事実です。テレビは新聞が掘った原石を目立つように加工して周知させるのは巧みだが、自前ではあまり掘らない。ネットは新聞やテレビが報じたニュースを高速デスクって世界へ広める力は抜群だが、坑内にもぐることはしない。」

今後「ニュース」を指す対象が「ネットニュース」ということになると、重要なことが指の隙間から溢れていってしまうような未来を危惧しているように感じました。

PV至上主義は、SNSのいいねに似てるかも

ここからが感想です。

WEBやネットは普段から密接に関わるインフラですし、ネットの動向は興味があるので読んでみました。インターネットの流行りを書いた本ですが2017年に発行されているので内容も全然古臭くなくて面白かったです。

普段新聞もテレビも見ないので、ネットニュースをニュースと捉えてしまってましたけど、ほとんど芸能ネタとで暇つぶしみたいな内容ですよね。これをニュースと捉えてしまってるのは危険だなと思いました。

速報性はネットニュース、その他もっと掘り下げて知りたいことは他のニュースサイトなんかを引用するようにした方がいいですね

あと、重要なものよりもキャッチーなものが好まれる傾向は、SNSにちょっと似てるのかなとも感じました。(重要の程度が全然違いますけど)

つい「いいね」ってゆうリアクションをつい気にしてしまって、ウケそうなことをメインに考えてしまったりするのも危険だなと思います。

SNSの中だけの反応に左右されることなく、あくまで告知したり活動の近況を知らせる手段として距離を置いたかんじで使うようにはしてます。

ちょっと話はそれましたが、1995年頃のネット黎明期の話も読めたりしてオススメです。

他に日本のネットメディア関連では、「ウェブ進化論――本当の大変化はこれから始まる」「ウェブはバカと暇人のもの~現場からのネット敗北宣言~ 」もオススメです。

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